事業拡大に向けて女性起業家が持ちたい視点【She Leads We Rise 起業家パネルレポート後編】

MPower Partners Team

Mar 16, 2026

WPower Fund主催のイベント「SHE Leads WE Rise」では、女性起業家3名が登壇し、それぞれの起業体験を共有。本記事では前編に続いてレポート「スタートアップ調査: 女性起業家を取り巻く課題と解決策」の結果を踏まえつつ、「女性〇〇」というラベルへの考えや、人脈の作り方、スケール化や意思決定に必要なマインドセットを聞きました。

パネリスト

  • スプツニ子!(アーティスト/株式会社Cradle代表取締役)

  • 福田恵里(SHE株式会社 代表取締役CEO/CCO)

  • 申 真衣(株式会社GENDA 取締役)

モデレーター

関美和(MPower Partners ゼネラル・パートナー)

「女性」のラベルにとらわれず、領域や事業の内容で人脈作りを

関:インタビューでは、「女性〇〇」というラベリングがいやという方が多かったんですね。 女性向けカンファレンスが役に立たないと話す方もいました。ではどんなものなら役に立つのか、皆さんから聞きたいです。 

福田:私はそうは思わないですが、女性向けカンファレンスを避ける人がいることは認識しています。おそらく理由としては、ユニコーンを目指したい気持ちや、必要なリソースへのアクセスにジェンダーは関係ないと思っているのかなと。それに女性起業家でユニコーンが現実的なのは申さんぐらいだと思うので、女性向けカンファレンスでは聞ける人が限られる。それは今の構造上の課題かなとは思います。

私はジェンダーにかかわらず取れるリソースは全部取りたいと思っているので、いろんな場所に顔を出すようにしています。たとえばICCというカンファレンスには、上場有無にかかわらずステージが多様な起業家がたくさん集まり、IPO後に非連続に会社を伸ばしていく手段や、資金、人集め、事業グロースの部分といろいろ聞けるので重宝しています。

投資家のパネルで「最終的には人が大事」という話がありましたが、本当にそうだなと思います。どれだけ多様なステークホルダーと知り合いになれるかで、経営のレバレッジが変わってきた実感もあります。本当は人見知りでカンファレンスも苦手なんですけど、さっき言ったように自分を奮い立たせて身の丈を超えて、コネクションを作りにいっています。

関:レポートでも、女性起業家は男性に比べて人脈作りが難しいという内容がありましたね。

スプ:私の場合は起業する前からバンドをやっていたんですが、音楽を通じて知り合った友達が起業していたため、 しょっちゅうみんなで練習して、ライブやって、その後飲みに行って相談して、とやっていました。私もカンファレンスが苦手なので、趣味でゆるくつながるコミュニティがすごく心地よかったです。

女性向けに限定されていないカンファレンスのなかには、男性しか想定されていないものもありますよね。「サウナで開催しよう」とか言っているのを聞くと「おいっ」って思っちゃいます。

関:申さんは人脈作りについてはどうされていますか?

申:やはりスタートアップの人脈はカンファレンスやVCが起点になるケースがとても多いと思います。私にはそういう人脈がなく、界隈の人を全然知りませんでしたが。でも起業家にとって、壁打ち相手がいるのはすごく大事なことだと思うんです。そしてそれは女性である必要はない。私は女性起業家の後輩のメンターになってあげてくれと頼まれることがとても多いんですけども、手がける領域が違いすぎると何もわからないことが結構あります。起業家として事業を続けるために知るべき・考えるべきことのうち、「出産の間どうするか」というトピックは結構小さくて、一度話を聞いたりメディアに出ているインタビューを読んだりすれば十分です。なので、同じ女性だからという理由ではなく、本当に領域や事業の規模、組織が似ている人を相手にする方がいいと思います。

スケールに必要なのは柔軟性とリスクを取って踏み込む力

関:事業の拡張性についてお伺いします。女性起業家が資金をたくさん調達して、事業をスケールさせていくためには何が必要でしょうか?

福田:いろんなステークホルダーの意見を聞いて、自分たちをアップデートする柔軟性を持つことが大事だと思います。

私はどちらかというと、「スケールするビジネスを作りたい」のが起点ではなく、「女性たちに自分の人生を生きるためのその武器と勇気を与えたいから」という気持ちで起業したので、当初はスケーラビリティをあまり考えていませんでした。でもVCと壁打ちするなかで、このビジョンを本当に日本の女性3,000万人に装着するには、小さくやってちゃダメだなと気づかせてもらいました。そのためにはお金も人も集める必要があります。そしてお金を集めるためには、VCの方々にスケーラビリティを説明しなきゃいけない。こうしてエクイティストーリー起点でビジネスモデルをアップデートさせて、市場のプロトコルに合わせにいった感覚があります。

申:私は逆で、「市場が大きく、競争環境があり、スケールできそう」という視点で事業を選んだんですね。そうすると「なんで申さんがそれやっているのかわからない」と言われ続けたんです。女性は共感をベースに働いていてほしいという願望があるのかと感じました。

福田:それに対してどう応えたんですか?

申:スタートアップでまだ事業がしっかり立ち上がってない段階では、起業家の動機やコミット具合が定性的に見られるんですが、事業が回り始めるとみんな規模のことしか言わない。だからその段階を超えたら、特に誰からも言われなくなりました。

スプ:私も福田さんと同じでビジョン起点で起業したのですが、スタートアップでは全体的にビジョンドリブンなナラティブが存在するなと思います。私は歩くビジョンみたいな感じで会社を作って、今は利益の仕組みを作りながら、もっと事業がスケールする方法を考えている段階です。リスクを取って踏み込むのはドキドキしますよね。でも「やれる」と思って進むことは大事だなと現在進行形で思っています。

外野のアドバイスに対して、最終的に意思決定するのは自分

関: 起業家にはいろんな人がいろんなことをアドバイスすると思うんですよ。なかには相反するアドバイスもある。皆さんは投資家とどんなふうに付き合ってきたか教えてください。

福田:私たちの場合は、事業に口出しはしないけれど、手助けしてほしいと言うと全力で力を貸してくれる株主ばかりです。気持ちはウェットなんだけど、干渉しすぎない適切な距離感がとても助かっています。 

申:私は相手がエクイティの投資家でもデットの出し手でも、表向きはしっかり頭を下げるんですけど、内面では自分がえらいっていう気持ちでいます。価値を創造するのは自分だから。結果的には投資家にそのリターンを取っていただくわけなんですが、上司と部下みたいになると混乱するので、「価値を作るのは自分なんだ」という意識はとても大事だと思います。

福田:同感です。アドバイスしてくる人たちはすごい人ばかりだったので、「いろんなことを経験したこの人がそう言うならそうなのかな」と思っちゃうこともあります。でも、やっぱり自分のなかの違和感は大事にした方がいい。言われるままにやって失敗したら、誰も責任を取れませんから。意見はもらうんだけど、意思を持って決めるのは自分。そうすれば失敗しても自分の責任だし、絶対に学びがあるから。当たり前のことですけど、すごく大事だなと思います。

スプ:スタートアップの経営は、ドラゴンクエストのゲームに似ているなと実感します。村人にいろいろ聞き回って、最終的には自分で判断して納得する。だから今日もこうした意見交換の場はすごく価値があるなと思っています。 

福田:全然役に立たない村人もいますもんね。私は過去に投資家から受けたアドバイスに納得できず、違う方向にいったんですね。結果的にそれが奏功して今の事業になっているので、そういうケースもあると知っていただけたら。

関:あまり振り回されないようにということですね。今日は皆さん、ありがとうございました!

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